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トラブル改善につながる技術情報を紹介します。

巻取方式の分類と特徴 – 中心駆動巻取

ウェブの巻取装置として一般的な中心駆動巻取について、その分類と特徴を紹介します。

コアを駆動軸とし、ウェブに張力を与えながら巻き取る方法です。大別して3つの方式があります。

中心駆動巻取(一般)

ウェブ製品の材料物性や要求品質、生産性などによって多種多様な巻取装置が実用されています。これらは巻取りの駆動方式により、中心駆動巻取(センタードライブ)、表面駆動巻取(サーフェイスドライブ)、併用駆動巻取(コンビネーションドライブ)の3 種類に分類できます。

図はコアを駆動軸とした中心駆動巻取方式の構成を示したものであり、さらに大別して(a)ニップのない中心駆動巻取、(b)ニップのある中心駆動巻取、(c)中心駆動ニア巻取をそれぞれ表している。

 

最も簡便な巻取方式です。調整パラメータは張力のみ。

ニップなしの中心駆動巻取

ニップのない中心駆動巻取は最も簡便な方式であり、ウェブに張力を与えた状態でコアに巻き取ります。この方式は設計が容易、巻取装置の製造コストが低いなどの利点がある一方、周辺空気を巻き込みやすく、いわゆる軟巻きとなって型崩れや巻締りなどが生じ易いといった特徴があります。

 

軟巻きトラブルを改善できます。調整パラメータは張力とニップ線荷重。

ニップのある中心駆動巻取

ニップロールと呼ばれる非駆動のフリーロールを設け、その押付け荷重(ニップ荷重)と張力をウェブに与えて巻き取ります。その際、ニップ荷重によって巻き込み空気を制限し、いわゆる固巻きにして型崩れなどを防止することができます。また、ロール形状を円形に保って巻き姿を良くすることができ、しわの削減やミスアライメント(芯出し不良)を改善できるなどの多くの利点を有します。その一方で厚みムラ起因のトラブルが生じやすいことに注意が必要です。

 

ウェブ搬送の不均一性に起因した流れしわを改善できます。調整パラメータは張力とロール間ギャップ。

中心駆動ニア巻取

同図(c)に示す中心駆動ニア巻取は、非駆動のニアロールと巻取ロールとのギャップが常に一定になるよう、巻取ロール径が大きくなるにつれて巻取軸あるいはニアロールが移動するようになっている。この方式は、巻込み空気量を制御し、ウェブ搬送に起因したしわの削減やミスアライメントの改善などが可能である。

 

上述した内容は書籍や文献に記載されているそれぞれの方式の特徴です。巻取装置が理想的に稼働している状態に限られます。

実際の生産ではそうではないことが少なくありません。例えば、ニップのある中心駆動巻取では、巻取ロールやニップロールが偏芯していると、巻取ロールとの間のミスアライメントによって片当たりします。また、ニップロール表面のゴムが摩耗して十分な円筒度を確保できずに不均一に巻取ロールと接触する場合もあります。

これらのような理想とは異なる状態は巻取トラブルを誘発する原因になりえるため、生産現場では注意深く観察・把握しておかなければなりません。トラブル対応に理論的な観点を取り込もうとする際、より理想的な状態にするための調整や微改造などによる改善が必要になることがあります。

 

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