巻取トラブルは巻取ロールの硬さに関係するものが多い。ここでは巻硬さを指標としたトラブルの分類と巻取条件でのコントロールするときのイメージを紹介する。
巻取トラブルは「硬巻のトラブル」と「軟巻のトラブル」に大別される。これらのトラブルを改善・防止するには巻取条件のコントロールが重要である。
硬巻のトラブルにはブロッキング、円周方向しわ、ウェブの体積/厚みロス(例えばティッシュペーパーや不織布)、コア潰れ、ゲージバンドやTIN CANNINGなどがある。その一方で軟巻のトラブルにはテレスコープ、コア抜け、巻締り、ロール偏芯、巻き巣などがある。
トラブル改善には巻取条件(操作パラメータである張力やニップ荷重、トルク、速度)の見直しが一般的である。巻取条件で巻硬さをコントロールして巻取トラブルを防止できる場合と、防止できない場合のイメージを図下にそれぞれ示している。いずれも横軸を巻硬さとし、赤領域では硬巻のトラブル、青領域では軟巻のトラブルが発生するものとする。また、凸状の線は生産時の厚みムラなどの不安定性を含んだ巻硬さのロット分布を表している。
トラブル改善が「できる」場合は、硬巻トラブルと軟巻トラブルが発生しないトラブル未発生領域が存在する。この領域にロット分布が位置するように巻取条件の見直しで巻硬さをコントロールすれば良い。
その一方で「できない」場合は、巻取条件によっていくら巻硬さをコントロールしてもいずれか、あるいは両方のトラブルが発生してします。つまり、トレードオフの関係にあるトラブルを巻取条件の見直しのみで全て防止できない。このようなウェブ製品は少なからず存在する。従来よりも高品質・高機能が求められるウェブ製品であればなおさらである。
改善方針は硬巻/軟巻のトラブル領域を狭くしてトラブル未発生領域を確保する、ロット分布を狭くすることにある。例えば巻取トラブルが発生しにくいウェブ特性への改良、厚みムラの抑制が挙げられる。
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