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巻き込み空気の巻取理論 – 巻取り中の空気層厚みの計算

大気中で巻き取ると空気が流入して巻取ロール内のウェブ間に空気層ができる。巻取り中に薄くなっていく空気層厚みの計算式を紹介する。

巻き込み初期と巻取り後の空気層の厚みに着目

空気層の取り扱い

理論では空気層の厚みを計算して巻取モデルに取り込む。

最外層での巻き取られるウェブとすでに巻かれたロールの間の空気層は、その箇所での空気圧と張力に起因した圧力がつりあう厚みになる。これを初期空気層厚みと呼ぶことにする。

一方、巻取りが進むと巻取ロール内の半径方向応力は大きくなっていく。これと同時に空気層は圧縮とロール端面からの流出によって初期よりも薄くなっていく。これを巻取り中の空気層厚みと呼ぶことにする。

本技術情報では、巻取り中の空気層厚みの計算式について以下に紹介する。

 

巻き込まれた空気の圧縮と流出によって薄くなる空気層

巻取り中の空気層厚み

最外層の初期空気層は、巻取り中に大きくなっていく半径方向応力によって圧縮され、かつ半径方向応力が負荷され続けるので巻取ロールの端面から徐々に空気が流出していく。

圧縮と流出にともなう巻取中の空気層厚みの変化は、それぞれ図中の計算式で求められる。

 

ボイルの法則から導出

圧縮の場合の空気層厚み

最外層にウェブを巻き取ったときの状態として初期空気層厚みをhal.0、半径方向応力をP0T/r=張力/ロール半径)、巻取り中の状態として巻取り中の空気層厚みをhal、半径方向応力を❘σr❘とする。また、いずれも大気圧をPaとする。

図中のように初期と巻取り中の状態にボイルの法則を適用して整理すると、圧縮されたときの空気層厚みの計算式が得られる1)

 

レイノルズ方程式から導出

流出の場合の空気層厚み

巻き取られたウェブ間の空気の流出を平行平板間の非圧縮性スクイズ膜流れとみなす。図は巻取ロール内のウェブ間を幅Wに対して中央で半分にした模式図である。

巻取り中の空気層厚みをhal、半径方向応力を❘σr❘、幅方向zに依存するウェブ間の圧力P(z)とし、図中のレイノルズ方程式、境界条件式、巻き取った時刻tsの初期条件を整理すると流出したときの空気層厚みが得られる2)

 

参考文献

  1.  Good, J.K. and Holmberg, M.W., IWEB, (1993), pp. 246-264.
  2. 神田敏満, 朱峰承興, 橋本巨, 日本機械学会論文集C編, 76, 772, (2010), pp. 3736-3743.

 

関連ページ

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巻き込み空気の巻取理論 – 概念と数値計算事例

 

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