ウェブハンドリング技術コンサルティングウェブハンドリング

solution

トラブル改善につながる技術情報を紹介します。

巻き込み空気の巻取理論 – 概念と数値計算事例

巻取り中に空気が流入して巻取ロール内のウェブ間に空気層ができる。巻き込み空気の巻取理論はこの空気層の影響を考慮したものである。

巻取り中は周辺空気が巻取ロールに流入する

巻き込み空気の現象

大気中でウェブを巻き取るときに周辺の空気が巻き込まれる。図は中心駆動巻取でニップのない場合とある場合において流入する空気のイメージをそれぞれ示しており、ウェブ背面とすでに巻き取られたロール表層の巻取りの動作によって同伴される。なお、空気量はニップなしの場合では張力、ニップありの場合ではニップ荷重で調整する。

 

巻き込み初期と巻取り後の空気層の厚みに着目

理論における空気層の取り扱い

理論では空気層の厚みを計算して巻取モデルに取り込む。

最外層での巻き取られるウェブとすでに巻かれたロールの間の空気層は、その箇所での空気圧と張力に起因した圧力がつりあう厚みになる。これを初期空気層厚みと呼ぶことにする。

一方、巻取りが進むと巻取ロール内の半径方向応力は大きくなっていく。これと同時に空気層は圧縮とロール端面からの流出によって初期よりも薄くなっていく。

 

具体的な空気層の計算結果を紹介

空気層厚みの計算事例

ニップなしの中心駆動巻取を対象に、初期と巻取り後の空気層厚みを計算した。実線が初期、破線が500m巻終り時点での各巻き長位置における空気層厚みである。

いずれの巻き長位置においても空気層は初期よりも巻終り時点の方が薄い。具体的には300m位置に巻かれた時の初期は1.6μmであるが、巻取が進んで500mに達した時には0.4μmまで薄くなっている。

 

巻き込み空気モデルでの数値計算事例を紹介

内部応力の数値計算ー巻き込み空気 巻取速度依存性

巻き込み空気が直接関係する巻取速度の半径方向応力依存性を計算した。ほかに張力とニップ荷重も関係するが、巻き込み空気の影響を無視しても半径方向応力に関係するので速度のみに着目している。

ニップなしの中心駆動巻取とし、巻取速度を0(空気無視)、10、30、60m/minに設定した。半径方向応力は巻き込み空気を考慮し、かつ巻取りが速いほど全体的に低くなる。速いほど巻き込まれる空気の量が多くなり、結果としてロール内に占める空気の割合が高くなることが要因である。なお、巻取張力とニップ荷重についても巻取速度と同じような結果になる。

 

関連ページ

ウェブハンドリングでの重要パラメータは張力と空気膜

巻取りの基礎理論 – Hakielモデルでの数値計算とその概念

巻き込み空気の巻取理論 – 初期空気層厚みの計算式

 

お問い合わせ

この記事に関するお問い合わせは、以下フォームより送信ください。

(必須)は入力必須項目になります

    会社名 / 氏名
    メールアドレス
    お問い合わせ内容詳細

    TOP